2014年04月04日

東日本セメント製品工業組合 東生会主催「見学会」参加報告

平成26年3月25日(火)東日本セメント製品工業組合 東生会主催による「見学会 セメント工場」が開催されました。
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見学先は(株)デイ・シイ・川崎工場(旧アサノセメント川崎工場)です。
京浜工業地区の礎を築いた工場で1917年創業、まもなく100周年を迎えます。
24時間操業、従業員90名、(夜間は5〜6名)で工場を操業。小人数で操業できる秘密は集中オペレーションシステムの賜物であり、その設備は壁面一杯にモニターが映し出され、受入から調合、製造、出荷まで一括管理されています。工場自体は古いですが、最新の制御システムが導入されています。

生産を休止するのは8月のお盆と正月。その期間1か月間を工場の大きなメンテナンスに充てます。それでも、新しい設備と古い設備が混在しているため、小さな補修や修理は毎日どこかで行われています。以前は社員数も3倍以上で社内工務部での自社管理でしたが、現在は外注業者に委託しています。

川崎工場の得意とする製品は、高炉水砕スラグを使用した特殊セメントです。隣接するJFE社が背景にあります。
スラグには、急冷して製造する水砕スラグと徐冷して製造するものがあり、徐冷したスラグはセメント用には向かず、骨材や路盤材として使用されますが、急冷したスラグはガラス質で潜在水硬性を有しセメントのアルカリにより刺激され強度発現に寄与することを利用して、これらを原料とした特殊セメントの製造を工場の特長としています。

セメントの製造過程を大きく分けると原料工程⇒焼成工程⇒仕上げ工程の3段階で、特に重要なことは原料工程管理。この段階でセメントの品質は大きく左右されます。急激な水和を抑制するため、仕上げ工程でせっこうを4%添加します。また、粉砕の仕上げ工程で噴霧される粉砕助剤は高い分散性能を発揮し、粉砕効率を向上、生産性を高めています。

セメント工場は、主要原材料である石灰石の採掘できる山が後ろにひかえている場所で操業しているのが一般的で、唯一“都市型セメント工場”である川崎工場は、日本各地より石灰石を航路で調達しているため港岸壁から長いベルトコンベアがあるのが特徴的です。
週1回のペースで1万トンの石灰石を受け入れていますが、帰りの船が空便であるのが現状、便の用途を模索中です。

セメントの主原料である石灰石は、製造過程でその40%がCO2として消えてしまうことに改めて驚きます。セメントの品質を左右する原材料は、原料自動分析装置により5分毎の自動抜取検査が行われ1時間当たりに約200〜300gを精密に分析し、調合割合の目安としています。
はるか昔には、製造職人の長年の勘による調合比率を行っていたこともあるとの話。そば打ち職人のようにその日の気温、湿度などで水比を変えるようなものでしょうか? 

ロータリーキルンは鉄板製でその厚みは20mm、内部に耐熱煉瓦が隙間なく張られており、大補修時には、職人による手張りを行うとのこと。ロータリーキルンは、新規に載せ替えをすることはまずない(工事費は¥100億位するらしい)ので、鉄板を溶接して補修を行います。
ロータリーキルンは、3〜5%の傾斜がついており、1分間に2〜3回転し40〜50分かけて原料が中を通過するように設計されており、その後水冷式のセメントクーラーによって、真夏で90℃、常用期で40〜60℃まで冷却されます。ロータリーキルンが両脇にある回廊を通りましたが、危うくローストポークになるところでした。焼成温度を1,450℃にしないとクリンカーは生成しません。そして、その後一気に冷やすことで固まる性質が生まれるのです。
ロータリーキルンの排熱は、原料の乾燥や、プレヒーターの熱交換等の再利用され、効率アップ、環境負荷改善に寄与しています。
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高炉水砕スラグは隣接するJFEより専用道路を通って搬入され、石臼のような縦型ローラミルにより粉砕されます。縦型ローラーミルは濡れている原料であっても使用できる特色を持っています。
クリンカーは、野球のボール位の大きさの鉄球の入ったボールミルの中でガラコンガラコンされて粉砕されます。かなりの回転スピードと騒音がすごい場所ですが、嫌なことがあった時に叫ぶ場所には最適!?

最終仕上げのセメント混合室では、5種類のセメントを混合することができ、様々な特殊セメントを作ることができます。現在、40サイロあるがそれでも種類が足りないそうです。トラックへの積込は、1万トンあるサイロから行いますが、ほぼ3日でなくなる程度。100年前に構築されたセメントサイロは、今でも現役であり経済産業局より重要文化財として指定されており、勝手に取り壊すことも補修もできないそうです。コアを抜いて強度を確認したそうですが、十分に耐用できる結果だったそうです。

セメント工場でのリサイクルが進んでいる理由として、
(1)多くの廃棄物に含まれているケイ素やアルミニウム、鉄などがセメントの主成分と一致すること、
(2)セメント製造時には二次廃棄物が発生しないこと
があります。例えば廃プラスチックなどは、燃料となり、その後クリーンカーの原料となります。1450℃で燃焼させることによりダイオキシンなどの処理もできます。賞味期限の切れた牛乳、ジュースなどの飲料もキルンで処理されています。オレンジの香りのするセメントができれば作業員のモチベーションも上がるが、香りが残らないいのが残念。

現在、セメントを1t製造するのに約600kgの副産物を使用しており、循環型社会に大きく貢献しているのがセメント工場です。原材料としてリサイクル材を使用することで、品質管理は非常に難しくなってきており、受入検査と連続して行う抜取検査が大変重要になっています。セメント工場がJIS工場でない理由もそのあたりによるらしい???

最後に、上述した報告内容は工場内を案内していただいた株式会社デイ・シイ・セメント事業本部・営業部・技術営業課長代理兼技術開発係長 高橋章市氏の丁寧なご説明によるものです。参加された東生会の面々、私も大変勉強になりました。I ♡ Concreteの大切な原料、ますます愛しくなりました。
お忙しい中貴重なお時間と興味深いお話をたくさんして頂き本当にありがとうございました。


新東産業株式会社 GK部 田辺 昭人





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