2014年10月27日

東京・長野県合同技術見学会レポート -その2-

平成26年9月23日〜24日に開催された東京コンクリート診断士会、長野県コンクリート診断士会、静岡県コンクリート診断士会合同技術見学会レポート その2です。

浅間温泉 宿泊 → 懇親会(盛り上がりました!!!)→ 翌日8時30分に浅間温泉を出発。

【見学スケジュール】
・三才山トンネル有料道路に架かる鹿教湯大橋
   塩害・凍害・繰返荷重による疲労劣化による複合劣化
・平三水橋
   ASR・塩害・凍害による複合劣化
・松代大本営地下壕
   第二次世界大戦終戦間際の地下大本営の建設地下壕

20分程で最初の見学地に到着。長野道路公社 三才山トンネル有料道路管理事務所の方々のお出迎えを受け、現場へと向かいました。
三才山トンネル有料道路の施設は昭和51年度完成し、供用開始から40年経過しています。管理区間L=8546.5mの間に橋梁15ケ所、トンネル2ケヶ所のコンクリート土木構造物があります。(pdf参照)
開通当初に比べ、大型車輌の交通量増加や凍結防止の塩化カルシウムの散布等から劣化が進む厳しい環境にあり、これらの整備を優先して対応しなければならない状況にあります。
管理事務所では、修繕工事に当って以下を検討しました。
 1.対策工事の「基本方針」
    ・通行規制を最小限
    ・竣工後の日常(目視)点検が可能
 2.修繕工法の概要
    ・床板補強工法の検討(鋼板接着、炭素繊維補強、下面増厚等)
     その結果として、次の工法を採択しました。
    ・床板上面
     脆弱部をウォータージェットで除去後、鉄筋の腐食状況により追加鉄筋を配し、
     床板打設、橋面防水及びアスファルトを舗設
    ・床板下面
     樹脂注入を併用して疲労耐久性とせん断抵抗性を有し、目視点検が容易な
     ポリマーモルタル吹付(スーパーホゼン工法:NETIS CG-110038-A)により
     下面巻厚を行う

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劣化診断説明
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床板上面アスファルト上の変状及び縁石劣化
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床板上面劣化状況
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コンクリート床板劣化
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床板下面補修工法


交通量の激しい橋梁の現場の中、止め処ない質問の嵐に見学時間はあっという間にオーバー。ご説明いただいた公社の方々にお礼を述べ、早々に次の見学地に向いました。

三才山トンネル有料道路を後にバスで1時間半ほど、次の目的地の平三水橋梁に到着。
平三水橋梁は、犀川に架かる橋の一つで、塩害とASRによる劣化が進行しつつあります。劣化、変状の様子を目視観察、分析、議論しながらの見学となりました。

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平三水橋梁、塩害・ASR・凍害の変状
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橋台ASR変状
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PC箱桁凍害
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橋台劣化


ランチはご当地長野の蕎麦定食。ボリュームたっぷり!そしてさすが長野の蕎麦!美味でした。(バスの道中、蕎麦畑が随所に見えました。)

そして最後の見学地、松代大本営地下壕へ。
松代大本営跡は、第二次世界大戦末期に旧軍部が松代周辺に国家中枢機能移転を極秘に計画(海岸から近く広い関東平野の端にある東京は防衛機能が弱いとされ、本土決戦を想定して移転計画が進められていました。)、1944年(昭和19年)7月に閣議決定され11月から地下壕掘削工事がスタート。
1945年(昭和20年)4月から工事は本格化され、半地下式コンクリート庁舎(現松代地震観測所庁舎)の建設、須坂や小布施には通信施設、善白鉄道の隧道利用等広域な施設の建設にとりかかりましたが、8月には終戦となり工事は予定の75%で中止となりました。
地下坑道の総延長距離は10kmに及び、象山、舞鶴山、皆神山の3ケ所には、政府、放送施設、通信施設、天皇皇后御在所や宮内省として予定された建物が残っています。

現在は優れた地震観測環境と最新の観測機器を有した世界でも有数な地震観測施設となっています。
松代付近の直径10kmの円周上に6地点、ほぼ中心に2地点の地震計を配置し、合計8地点の信号は松代地震観測所に集められ、電子計算機で処理されます。これによって1地点では観測が困難であった微弱な地震波の検出、震源の決定や全地球的地震の監視と精密な地殻変動、地下核実験探知等々、地下に向けたレーダーのアンテナとなっています。
所長の説明を受け坑道内を見学。わくわくしながら戦時中の材料不足の最中、どんなコンクリート構造物を構築したのか想像をめぐらし視察。
・・・ところが施設内は新たなコンクリートでリニューアルされて面影もなく、資料のような大坑道の光景は一般開放されておらず見ることができませんでした。


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大本営地下壕
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坑道内
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坑道内地震計



以上、滞りなく見学会は終了し、JR篠ノ井駅にて長野診断士会の面々と別れ、一路東京へ帰途となりました。


日本 東京コンクリート診断士会員 仲田昌弘



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2014年10月10日

第4回 KLN(きらり・レディ・ネットワーク)セミナー報告

さわやかな秋晴れの9月28日(日)、弊社会議室にて南極観測隊についてのお話を伺いました。
講師は第56次南極地域観測隊として4年前に実際に南極へ行かれた大平 正さんと、今回観測隊に初参加される三津山 和朗さんです。
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お2人ともボランティアで地元の小・中学生に南極について講話をされたり、塾の講師をしていた経歴をお持ちなので、とても分かりやすく丁寧にお話しいただきました。

観測隊は少人数の閉ざされた世界のため、自分の仕事はもちろん、その他の仕事も知識として得て、突発時に何でも対応できることが必須となってくるそうです。
小さなトラブルが死につながる極限の世界にいるというプレッシャーからでしょうか、お互いを思いやり、カバーしあえるようになり、隊の雰囲気が良くなるようで、楽しそうな宴会風景の写真がたくさんみうけられました。
この状況と同じことを中小企業にも当てはめ、活用することができるかと思います。
限られた人数の中で自身の仕事を深く理解し、その他の業務等にも幅広く対処が出来るように意識向上の改革ができるようになれば、会社の活性化に繋がり、社内の結束も強まるでしょう。

南極観測隊になるには、企業推薦、一般公募、研究者の中から選抜されるそうです。
選ばれた後も様々な心と身体の詳細な健康診断が行われ、野外での実地訓練などを経て現地へと出発するそうです。
基地の内外部、作業車や器具、楽しそうな食事風景、オーロラの写真・・・。たくさんの画像や資料を見せていただきながらお話が進んでいきます。
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南極といえばタロジロ君で有名な南極物語という映画を思い出しますが、今は移動手段に車があるので犬は連れていっていないそうです。(昔犬そり)
メールやインターネット、電話も普通にできお風呂も毎日入れる環境とのこと。
なんとトイレはウォシュレット!
オゾンホールは日本の観測隊が発見したそうなんですよ。すごいですね!
戦争で負けたおかげで接岸不可能の場所でベストな位置に基地をもうける事が出来なかった昭和基地ですが、なぜかオーロラが他の場所よりよく観測できるそうです。
また、南極では生活妨害電波の影響が無いので天気予報がとてもよく的中するそうです。


盛りだくさんのお話しと参加者からの質問であっという間にお昼に!
場所を溜池山王の中華料理店へ移して食事をしながら引き続き歓談しました。
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定番の円卓テーブルをくるくる廻しながら次々出る質問に、真面目な話から、いそうでいない南極の熊、観測期間中の準備としてまとめ買いをするため、ヘビースモーカーが1年間にどれくらいたばこにお金を掛けているかが分かる・・・など冗談を交えたくだけた話まで、盛り上がっている間にランチタイムも終盤へ。

講師のお2人は11月25日に出発され、1年4ヶ月ほど日本を離れるそうです。
帰国された際はぜひ報告会で再会しましょうと約束し、楽しい時間のお礼と激励の握手をかわしつつ解散しました。
ぜひ、報告会の開催をお楽しみに!

新東産業株式会社 肥後 優子



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